覆面コンサルタント「N」の現場レポート

#.01

2018.05.10

エリア棟数と契約率を把握して「未来戦略」を練る

 


 
まずはじめに

 全国各地の工務店・設計事務所などの建築業界専門にて、
 匿名での経営コンサルティングを行なう覆面コンサルタント「N」。
 企業として利益を伸ばし続けていくために、誰もがぶつかる“経営の落とし穴”を
 分かりやすく解説しながら導いていく。
 出身地も性別も誰も知らないが、独特の訛りが人を安心させ、自然と話が進んでいく。
 それがNのスタイルである。

 

第一回目の現場レポートでは、覆面コンサルタント「N」が用いる経営状況判断シートを元に、話を進めていきたいと思います。

 


目次
■魔法の経営シートで経営の見える化
■データから見える未来戦略
■セカンドブランド戦略の考え方
■現状打破まとめ|棟数を伸ばすには?
■契約率を上げるには?


 

魔法の経営シートで経営の見える化

 

N
第一回目の現場レポートは東海圏内にて建築設計事務所を営む通称Sさんです。
Sさんはじめまして。たぶんはじめましてですよね?

 

S
こんにちは。覆面をかぶっていらっしゃるので分かりませんが、たぶん初めてだと思います。
今日はお越しいただきましてありがとうございます。
ちなみにですが、今日お話しする内容は弊社だと特定されないですよね?

 

N
もちろん守秘義務は守ります。全国を渡り歩いていますので、何県の会社様なのかは分からないと思います。
あと、東海圏と書きつつ実は北陸ってこともありますので、ご安心ください。
今日は経営に関するお話をさせていただきますが、まず現状を把握するためにこちらを見ていただきますでしょうか?

 

 

 

S
こちらは?

 

N
私たちが「魔法の経営シート」と呼んでいるものです。
いまSさんが行なっている経営の現状把握をするために、現在の数字をお伺いさせていただきます。

 

たとえば
ここ1年間の建築棟数
☑御社の社員数
☑家づくりにかかる最低工数
☑年間広告費
☑初回接触から契約までの契約率
などです。

まずは早速書き出してみましょう。

 

 

S
現状の経営に関する数字をあてはめていくのですね。
分かりました、やってみましょう。

 

 

 

S
意外とすぐに出るものと、すぐに出ない数字がありました。
意識している数字と意識出来ていなかった数字があるのですね。
これらでなにが分かるのですか?

 

N
書き出して頂き、ありがとうございました。
Sさんがおっしゃる通り、すぐに出てくる数字と出てこない数字、
これも今後の経営を考える上で大切なことだと私は考えております。

例えば、このアンケート用紙で見えるところは、、、
1頭あたりに対する広告宣伝費が適正であるかどうか
一人あたりに対する利益や、それらが売上に対して適正であるかどうか等
経営判断される時の判断材料としても使える、様々なデータが浮き彫りになっています。


Sさん、実際に見てみていかがでしょうか?

 

 

S
7人で運営していて一人当たりの利益が意外でした。
また、反響から受注(契約)までの中で、
反響からプラン依頼に至るパーセンテージが
他社平均値に比べて低いですね。
これをもう少し伸ばしていきたいと感じました。
これは社員育成での指標となりそうですね。


N
そういうことです。
現状を把握した上で、今後の課題を見つける。
すぐに出てこない数字と、当たり前に出てくるような数字を掛け合わせると、
本当にいま御社が見なければいけない箇所が浮き彫りになるということです。


また、ビッグデータを揃えている弊社から、業界平均値や設けている会社の数字までご提供できますので、
更に明確になるかと思います。

 

 

データから見える未来戦略



N
ここで見ていくのが、これからなにを伸ばしていきたいか?という話になってくるかと思います。

 

S
そうですね。来年で15年目になるのですが、これからの戦略を考えていきたいなと思っています。
設立当初に思い描いていたのは、
この地域で 他社と比べて頭ひとつ出ている状態
この地域で家づくりするなら「まずココに相談しなきゃ!」、
そう思ってもらえる会社にしたいなと考えていました。


じゃあ現在どうなんだと言うと、他の会社さんと横一線状態。
どこも年間15棟となっているかと感じています。

 

 

N
デザインであったり価格帯であったり価格帯であったり商品であったり、
どこを目指すのか難しくなりますよね。
金額が高くなってくると市場が小さくなってしまいますし。

この地域で「まずココに相談しなきゃ!」であるためには、
中の上くらいのポジショニングが最適だと思います。

このエリア(商圏)は15万人以下の都市になるかと思いますが、戸建て棟数は年間どれくらいでしょうか?

 

S
最近だと13万人ほどで、建築棟数は年間500棟くらいですね。



N
なるほど、、このエリアの土地価格は平均30~40万/坪、御社の平均単価が2,700万/棟、となると・・・
あくまで経験上ではありますが、このエリアでの御社の適正な建築棟数は3%くらいだと思います。
なので、500棟の3%で15棟。
市場(マーケットシェア)から見て、現状の年間棟数は適正だと思います。

 

 

 

セカンドブランド戦略の考え方
価格をおさえた規格住宅 あり?なし?

 

N
それと、価格帯を2000万前後に落とせば、市場の5%くらい取れると思います。
年間25棟くらいですね。



S
すごくわかります。
私たちもそこを感じていて、数年前からセカンドブランドを立ち上げました。
規格住宅になるのですが、どうもここが伸び悩んでいると感じています。

「2000万円前後の規格住宅」というところの受け皿としてお客様にご案内しているのですが、ここからどう伸ばしていこうかと…



N
セカンドブランドは、年間でどれくらい建てられましたか?


S
年間2棟くらいですね。4棟の時もあります。

 

 

 

 

N
ちょうど最近、他でもセカンドラインの話に出てきたのですが、
複数ブランドを上手に運営している会社って、実はあまりないんです。

ホームページやチラシとか、見た目には複数のブランドを販売しているけれど、
蓋を開けてみればほぼ1つのブランドに依存しているようです。

多くは価格の安いブランドの方が売れているみたいですね。



S
おっしゃる通りですね、確かにセカンドブランドに興味を持っていただいたお客様と話していると、
最終的に「注文住宅」に流れていき、予算が合わなくて契約にならないケースが多いですね。


N

御社でもそうなのですね。

ここ2~3年、全国の複数ブランドをやっている会社を訪問して話を聞いてきたのですが、
どこもあまり上手くいっていなかったですね。
そしてどこも安い価格帯のブランドが受けていました。

例えば、注文住宅(自由設計)の会社が規格住宅を売ると「ここは変更できないの?」など、
お客さんが悩んじゃうことが多くなってしまったり、
おすすめをしているスタッフ自身も難しくなってきて分からなくなって、売りにくくなってしまったりするようです。



S

バランスが難しいですよね。
片方(注文住宅)では「性能」や「デザイン」などを謳っているのですが、
こちら(規格住宅)では同じ口で全く違うことを言っている。

この感じも良くないと感じているんです。



N

逆に、お客様から見たら窓口が全然違っていて、全く違う会社が売っているけど、実は施工自体は同じ会社が行っている、という所は結構上手くいってますね。

実は私自身も、複数ブランドを展開しています。販売窓口だけは別法人にして「まったく違う会社」として販売しています。

お客様には、別部署・別事務所・別会社で、まったく違うものを売っている会社だと見せるんです。
お客様の満足度も高く、順調にいってますよ。



S
私の周りでもたしかに悩んでる方が多いみたいです。
ある工務店さんと話したことがあるのですが、
「注文住宅も取りたいし、価格を抑えて比較的建てやすくなった規格住宅、一般の層富裕層の両方とも取っていきたい」と、、、


N

それは難しいですね(笑)
ただ、価格を抑えた規格住宅を伸ばしていきたいと思うのも一つの考えです。
注文住宅はまったく別会社として運営するとして、あえてチャレンジするのも良いかも。


S
確かに、そこの会社さんも、注文ではなく規格住宅がメインになってきている気がします。

長くなりましたので、つづきはこちら→「現状打破まとめ、棟数を伸ばすには?」


 

現状打破まとめ|棟数を伸ばすには?

N
色々とお話しくださりありがとうございました。
まとめてみますと、まずはエリア(商圏)を広げるべきだと思います。

とても単純ではありますが、現在の年間500棟エリアを、年間1000~1500棟の商圏まで広げることです。

御社の場合ですと、現在の反響数(初回接触)~契約までの数字から想定すると、
3%とれたとして30~50棟まで伸ばせると思います。
幸い、隣接エリアも土地価格、居住者属性が同党な地域が多いですし。



S
たしかにエリアは広げないとと思っていました。
近隣だと90分圏内まで広げられそうです。

このシートで見る契約数の50%強が近郊エリアの方で、他のエリアでいえば私たちの認知度はまだまだ低い。
現在のエリアでも、もっと伸ばせるなと思いました。

 

N
また、セカンドブランドを考えるなら
御社の平均単価2700万、3%の市場(マーケットシェア)に対して、
2000万前後の価格帯で見れば、適正は5%ほどかなと思います。
ローコスト系だと6~7%の市場が取れるかもしれないですね。



もう一度、まとめてみますと、
☑同一商品でも、エリアを広げれば年間30棟以上が可能
☑セカンドブランドを作るなら、別会社として立ち上げる

ですね。


S
なんだか希望が見えてきましたね。
まだまだ上に行けるということですもんね。



契約率を上げるには



N
そうですね。エリアを広げて、入口の動線を改善すればいいかと思います。
先ほどまでのお話で、エリアを広げることはイメージで来たかと思います。
それ以上に、今の契約率を更に上げたいと考えているなら。


見学会や相談会の敷居(お客様の抵抗感)を低くして間口を広げることが重要です

家づくりの相談会などのイベントを、毎月〇日などと定期的に開催することで、お客様が気軽に予約しやすい状態になり、敷居は低くなるかと思います。


なにかしらのイベントをいつもやっている状態をアピールすることで、
(いつもやってるから)来場しやすい・お気軽にお越しくださいと見せることが出来る。
(WEB上で)活気が伝わる。常に情報を発信しているということが見えてきます。


そうすると、会社としての印象も変わっていくかなと思います。





S
正直いいますと、現在は相談会などを告知しても来ないことが続いたので、やっていない月が多いですね…


N
確かにそうお考えの方も多いです、「どうせお客様が来ないから、やっても無駄だと。。。」
それでも、続けていくことが重要です。WEBでの相談会告知はコストも掛かりませんし。

お客様に、常にやっている、という認識を持ってもらって「いつでも予約しやすい状態」に持っていければ、
時間はかかるかもしれませんが予約数・来場数も変わってくるかと思います。

WEBだけでなく、フリーペーパーやポスティングなどで相乗効果を狙っていくのも良い手法です。

昔より反響率が落ちてコストがかかると敬遠されがちな、紙媒体などのアナログな集客手法も組み合わせ次第です。
紙×WEB、両方やっていただくのがおすすめです。


1人あたりのコストも、1年ほどやっていけば効果が見えてくるかと思います。
これは効果があった、これはコストがかかった、新聞はこのエリアだと反応がよかったなど。
効果測定を何度も繰り返しながら改善していくことをお勧めします。


あとはモデルハウスがあると集客は楽ですね。
住宅展示場ではなく、一般の住宅街に建てて、何年間かモデルハウスとして来場集客を行なって、その後売却することで広告コストも回収できます。


今よりも数字を伸ばしていきたいとお考えでしたら、常に情報発信していくことです。

そして効果測定を繰り返し、反響を見て、また繰り返していく、発信を倍にする場合でも、広告媒体も変えていくと、すぐに反応が見えてくるかもしれないですね。

 

 

S
ありがとうございました。
今後はこの経営シートを定期的に集計しつつ、集客の判断を繰り返していくことで
取り組むべき課題が見えてきそうです。


N
そう言っていただけて良かったです。
数字を見ていく過程で、課題は違う箇所にも及ぶと思いますが、結果として全体の数字が向上したら幸いです。

今日はご協力いただきましてありがとうございました。


S
こちらこそ、ありがとうございました。

また、今日のお話を社内に展開して、数ヶ月後に数字の動向を見ていきたいと思います。